蜜璃ちゃん家で出されたパンケーキ、美味しそうだったなぁ〜
しかも炭治郎は「アーン」してもらって、幸せそうな顔してた
ふと疑問なんだけど、大正時代にパンケーキって本当にあったの?
現代スイーツのイメージだもんね。さっそく調査してみようか
実は明治時代には日本に伝わっていた
パンケーキはフワフワした食感、溢れるシロップの甘み、溶けたバターの香りで若者だけでなく多くの現代人に人気のスイーツです。
そのため大正時代を舞台にした『鬼滅の刃』に登場した際に、私と同じように違和感を感じた方もいたのではないでしょうか?
そこでパンケーキの歴史を調べてみることに。すると、実は明治時代には日本に伝わっていたことがわかりました。
へぇ、意外。けっこう昔から日本でも食べられてたんだね
しかも世界から見れば、パンケーキの歴史はとても古いみたい
実はパンケーキの始まりは古代ギリシャや古代ローマの時代と言われ、紀元前の大昔から食べられていたことがわかっています。
当時は小麦粉と水でできた生地を、熱した石で両面焼いただけのシンプルなものだったそうです。
さすがに味は現代のパンケーキの方が美味しそうですが、大昔の人々も同じものを食べていたと知るとロマンを感じますね。
じゃあパンケーキの歴史の中で、日本に伝わったのは最近なんだね
だから炭治郎が食べたのも、現代のものに近かったんじゃない?
私パンケーキ好きだから、実際に大正時代のも味わってみたいなぁ
そう言うと思って、当時のレシピも調べてみたよ
甘露寺邸で出されたパンケーキの味を知りたい
先ほど、パンケーキの日本伝来は明治時代だとお伝えしましたが、一般的に知られるようになったのは大正時代になります。
大正12(1923)年、東京・日本橋の三越デパート食堂にて、バターとメイプルシロップと共に「ハットケーキ」として登場します。
伝統文化と西洋文化の入り混じる時代。たちまち人気に火がついた「ハットケーキ」の味に蜜璃ちゃんも虜になったのでしょうか?
ハイカラな蜜璃ちゃんだから、流行にも敏感だったに違いないね
東京のデパートの味?
出典:『東京景色写真版』,江木商店,[明26?]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/764109 (参照 2024-06-14)を加工して作成
さっそくですが、デパートの味説には2つの矛盾点があります。残念ながら東京のデパートで提供された味とは別物でしょう。
え〜?デパートの味なら説得力ありそうなのに、どうして違うの?
矛盾点その1は呼び方。当時、デパートの食堂でパンケーキを「ハットケーキ」として提供されたことは事実です。
逆に言うと、一般人は「パンケーキ」という名前を知りません。さらに言葉もなまって「ホットケーキ」が一般化しました。
はっきり「パンケーキ」と言った蜜璃ちゃんは、少なくともデパートで提供される以前から知っている古参だと言えます。
パンケーキも知ってて、実際にデパートでも食べた説はない?
その説も残念ながら無いかな。その理由も解説してあげる
矛盾点その2は、時代。アニメシーズン1の7話では、東京・浅草のシーンが登場。背景に東京のランドマークだった凌雲閣が見えます。
実は大正12(1923)年9月に起きた関東大震災により凌雲閣は倒壊。その後のストーリーでも地震の描写は出てきません。
つまり甘露寺邸でパンケーキを食べた時点では、まだ東京のデパートで「ハットケーキ」の提供がされていなかったと考えられます。
ということは、蜜璃ちゃんは独自ルートでレシピを知ってたんだね
そう、きっと一般化する前からパンケーキを知ってたんだと思う
明治時代のレシピ本?
明治17(1884)年にイギリス人のウィルレム・チャンブル氏が編集、日本の文部省が翻訳した「百科全書」が出版されました。
この本で「薄餅」として紹介され和訳されたものが、薄餅の日本初登場だと言われています。本の中で作り方も説明されています。
さらに明治37(1904)年出版の「常磐西洋料理」でも「パンケーク」として紹介。これらの本から知識を得ていたのでしょう。
じゃあ、このレシピ通りに作ればアニメの味を再現できるのかな?
きっと近づけるはず!次は作り方を調べてみよう
甘露寺邸パンケーキの作り方
当時のパンケーキレシピを調べるために、先ほど紹介した「百科全書」と「常磐西洋料理」のどちらを参考にするか検討しました。
どちらかというと20年後に書かれた「常磐西洋料理」の方が、最新の情報が記載されているはずです。
しかし「常磐西洋料理」での「パンケーク」には違和感。やはりアニメに忠実な「パンケーキ」表記の「百科全書」を参考にします。
レシピ本の原文を読んでみたが……
出典:ウィルレム・チャンブル, ロベルト・チャンブル 編 ほか『百科全書』中巻,丸善,明17-18. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/897087 (参照 2024-06-14)を加工して作成
さっそく「百科全書」の原文を確認してみましたが、さすが100年以上昔に書かれた文章。令和に生きる私には、まったく読めません。
読めなさすぎて笑いが出ちゃう。あおいちゃん、解読して〜
ここは叡智の結晶、AI技術を駆使して現代語訳してみよう
当時のパンケーキレシピを解読!
1. 生地をつくる
2. フライパンで焼く
3. 盛り付けする
1. 生地をつくる
卵3個に砂糖を入れて混ぜ、なめらかになるまで泡立て。さらに小さじ一杯の小麦粉を入れて滑らかになるまで混ぜます。
牛乳を混ぜ入れると、さらに濃厚に。バニラエッセンス3滴、シナモンエッセンス2滴、レモンエッセンス8滴加えてよく混ぜましょう。
卵3個に対して、小麦粉の量が少なすぎない!?
牛乳は目分量かな?その割に香料の指示はしっかりしてるね
2. フライパンで焼く
フライパンにバターや油を入れ、中火にかけます。そこへ生地を流し込んで、薄く広げるようにしてください。
生地が焼けて薄く茶色になったら、ナイフで周りを切り離して、三つ折りにしましょう。
パンケーキを三つ折りにしちゃうの!?私は丸いまま食べたいな〜
中に具の入ってない、クレープみたいなイメージかな?
3. 盛り付けする
お皿に移したら砂糖をふりかけシロップをかけて、温かいうちに召し上がってください。
もっと薄く焼きたい場合は、裏返してもう一度焼いてくださいね。
シロップと訳されてるけど、ラスプベレ醋ってラズベリー酢?
想像以上に、オシャレな食材を使ってたんだね
大正時代にパンケーキはあったっぽいけど……
日本にも100年前からパンケーキがあったなんて、勉強になったよ
でもレシピを見てみると、現代のものとは別物って感じだったね
でもアニメのパンケーキは、現代っぽくて美味しそうだったなぁ
むしろ蜜璃ちゃんが、現代レシピの始祖という都市伝説になりそう
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